一言で言うと、12インチシングルは、「LP盤のサイズ」と「シングル盤の収録曲数」を組み合わせた、高音質・長尺なレコードです。
レコードには、主に3つのフォーマットがあります。
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シングル盤 (7インチ)
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LP盤 /アルバム(12インチ)
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12インチシングル (12インチ)
これらの違いを、サイズ、回転数、収録曲数、そして音質という観点から見ていきましょう。
1. シングル盤(7インチ)
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サイズ: 直径17cm(7インチ)。手のひらに乗るくらいの、一番小さなレコードです。中心の穴が大きいのが特徴で、「ドーナツ盤」とも呼ばれます。
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回転数: 45回転。まれに33 1/3回転もあります。
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収録曲数: 片面1曲ずつ、計2曲が基本です。
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特徴:
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当時のヒット曲をすぐに手に入れるためのフォーマット。
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再生時間が短いので、溝の密度が高く、音の振幅を大きく取りにくいです。そのため、音質的にはLPや12インチシングルに劣ることが多いです。
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2. LP盤(12インチ)
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サイズ: 直径30cm(12インチ)。一般的によく知られているサイズの大きなレコードです。アルバムとも呼ばれます。
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回転数: 33 1/3回転。
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収録曲数: 片面で5〜6曲、アルバム1枚分(計10曲以上)が収録されているのが一般的です。
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特徴:
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L.P.は「Long Play」の略で、長時間再生できることを意味します。
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長時間収録するため、音溝を細く、密に刻む必要があります。その結果、音のダイナミクス(迫力)は12インチシングルに比べて控えめになりがちです。
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3. 12インチシングル
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サイズ: 直径30cm(12インチ)。LP盤とまったく同じサイズです。
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回転数: 45回転と33 1/3回転が存在します。プレス国によって異なる場合が多いです。
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収録曲数: 片面1〜3曲程度。シングル盤と同じように、1曲を主軸に据えた構成です。
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特徴:
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一番の利点は、LP盤と同じ大きな盤面に、シングル盤と同じ少ない曲数しか収録しないことです。
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これにより、音溝の間隔を非常に広く取ることができ、ダイナミックレンジの広い、高音質なカッティングが可能になります。
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特に低音域の迫力はLP盤を上回ることが多く、ダンスミュージックやクラブミュージックと相性が抜群でした。
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DJは、大きな盤面で頭出しがしやすく、高音質で、曲の長いバージョンが収録されている12インチシングルを好んで使いました。
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12インチシングルは、7インチシングル盤よりも盤面が大きく、音溝も広いため、音質が良く、より長い曲やRemixバージョンなどが収録されているのが特徴です。
主にDJプレイやクラブミュージックで使用されることが多いです。
12インチシングルは、シングル盤の「1曲を楽しむ」というコンセプトと、LP盤の「大きな盤面」という物理的メリットを最大限に活かした、まさに音質重視の特別なレコード盤と言えます。レコードを作るエンジニアたちにとっても12インチシングルをカッティングは、一番腕の見せ所とも言えるでしょう。










