
Brandy / The Ritual
アフリカの深層へと静かに誘う12分超のDeep Tribal Dub。2001年、フランスの名門レーベルYellow Productionsからリリースされた、ベルギーのDJ/プロデューサーBrandy Volantによる12インチシングルThe Ritualは、派手なピークや即効性のあるフックとは無縁ながら、針を落とした瞬間にフロアやリスニング空間の空気を一変させる、超ハマり系のDeepサウンドっ!
儀式の始まりを告げるイントロの空気感
イントロは、アフリカンなヴォーカル・サンプルと土着的なパーカッションが密やかに絡み合い、まるで儀式の始まりを告げるチャントのように幕を開けてゆきます。キックは主張しすぎず、脈打つように淡々と刻まれ、ムビラを思わせる金属的なフレーズ、ジャングルの気配を想起させるSEや動物の鳴き声が、少しずつ音の層として重ねられていく…ここで重要なのは高揚させないという美学でしょう。
ビルドアップを拒む没入型グルーヴ
ビルドアップやドロップでイッキに解放するのではなく、一定のテンションを保ったまま、聴き手を深い没入状態へと導いていく雰囲気のあるサウンドです。A面に収録されたThe Ritual (Original Mix)は12分35秒にも及ぶ大作で、中盤に差し込まれるダブ処理されたエフェクトや残響は、音数を増やすのではなく空間を広げる役割を果たし、フロアでは時間感覚を曖昧にしてくれます。
2000年前後EUシーンとの共鳴
2000年前後のEUクラブ・シーンでは、Afro、Jazz、Houseが交差するクロスオーバー作品が静かに支持を集めていましたが、本作もまさにその文脈の中でDJたちの信頼を獲得していった1枚です。リリックと呼べるほど明確なストーリーはなく、ヴォーカルは祈りや詠唱のように反復され、そのミニマルなメッセージ性が音楽そのものを儀式として成立させており、リスナーは意味を理解するというより感覚で受け取るコトになります。
Château Flight Remixが示す別解釈
B面にはフランスのHouse Château FlightによるRemixを収録。こちらは初期Chicago Houseを彷彿とさせるAcid感のあるベースラインが前面に出たアレンジで、オリジナルとは異なる解釈ながら、しっかりフロア対応の仕上がりになっています。決して即効性のアンセムではありませんが、夜更けのピーク後、あるいは長いセットの中盤で空気を作るために、コレほど頼りになる1枚はそう多くないんじゃないでしょうか。深く、静かに、確実に効いてくる…そんな12インチシングルを探しているDJやリスナーに聴いてほしいナンバーです。











