
Donald Byrd / Loving You
Jazzの知性がDiscoと交差した1978年の到達点
夜景が似合う気品あるDiscoグルーヴ。知性と多幸感が交差する1曲。50年代にHard Bopの最前線を走り、60年代にはModern Jazzの語法を更新し続けたトランペッター、Donald Byrd。その彼が70年代後半、時代のうねりを真正面から受け止め、FunkやR&B、さらにはDiscoのエッセンスを大胆に取り入れたフェーズで生み出したのが、今回レコメンドするLoving Youです。
B面に宿る洗練という選択
Elektraから1978年にリリースされたこの12インチは、アルバムThank You … For F.U.M.L. (Funking Up My Life)からのシングルカットで、A面タイトル曲がファンキーなJazz Discoとして知られる一方、今回あえて推したいのがB面に収録されたこのLoving You。いわば派手さではなく完成度で勝負する1曲であり、当時のDJたちが静かに評価していた理由も頷けます。
しなやかに躍動するアーバン・グルーヴ
イントロから耳を奪うのは、華やかでライトなストリングスとシンセが描くメロディライン…そこに跳ねるようなパーカッション、タイトに刻まれる16ビートのギター・カッティングが重なり、フロア仕様ながらもどこか洗練された空気感を纏って進んでいく。グルーヴはあくまでしなやかで、ディスコ特有の高揚感をキープしながらも決して過剰にならない…その絶妙なバランス感覚こそがDonald Byrdの真骨頂ですね。
トランペットが語る大人の色気
そして曲の核となるのが、モチロンDonald Byrd特有のブリリアントで知的なトランペット。キャッチーな女性コーラスが多幸感を煽る中でも決して主役を譲ることなく、流麗なラインでダンスビートを切り裂いていく…その音色は甘美でありながら芯があり、単なるDiscoナンバーを大人のためのアーバン・サウンドへと昇華させています。Funkの泥臭さよりも、夜の都会のネオンや高層ビルの灯りが似合う感触は、Sky High Productions周辺作品とも共鳴する透明感をカンジさせます。
12インチでつながる1978年と現在
リリックはタイトル通り愛することをテーマに、直接的でありながらも押し付けがましくない表現が印象的。高揚するダンスビートの中で語られるラブソングは、甘さ一辺倒ではなくどこかクールで理知的だからこそ、フロアでかかっても気品を失わず、ラジオでもクラブでも自然に馴染んだ。70年代後半、JazzミュージシャンがDiscoへ接近する流れの中で、本作は迎合ではなく進化として受け止められ、DJたちの間でも密かに評価を高めていった。12インチならではの音圧と奥行きで聴くLoving Youは、現代の耳にも驚くほど新鮮ですよ。HipHop的なビート感覚とJazzのインテリジェンスが同居するこの1曲は、クロスオーバー作品を掘り下げたいDJや、夜のムードを演出したいリスナーにとって理想的な選択肢。針を落とした瞬間、1978年のフロアと今この瞬間が静かにつながる──そんな体験を約束してくれる1枚です。



























