Eddy Grant / My Turn To Love You - Reggaeの枠を超えたEddy Grant流ラグジュアリーDisco

Eddy Grant / My Turn To Love You

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Reggaeの枠を超えた、Eddy Grant流ラグジュアリーDisco。1983年の大ヒット曲 Electric Avenue によって、Eddy GrantをPop Reggaeシンガーとして認識しているリスナーは多いと思います。しかし、Eddy Grantの魅力はそれだけでは到底語り尽くせませんっ!今回レコメンドする My Turn To Love You は、その固定観念を鮮やかに覆してしまう極上のDiscoチューンです。1980年リリースのアルバム Love In Exile からカットされたこの楽曲は、US盤ではPromo Onlyの12インチとしてリリースされたコレクター心を刺激する1枚。DJユースを強く意識した6:20のExtended Versionを収録しており、メジャーヒットする以前のEddy Grantが持っていたDance Musicクリエイターとしての才能を存分に味わえる作品です。


Electric Avenueだけでは見えてこないEddy Grant

Eddy Grantという名前を聞けば、やはり最初に思い浮かぶのは Electric Avenue でしょう。ReggaeをベースにPop、Rock、Electronic Musicを融合させた独特のサウンドによって世界的な成功を収めた曲ですが、彼のキャリアを遡っていくと、その音楽性が最初からひとつのジャンルへ収まるようなモノではなかったコトがよく分かります。Reggaeをルーツに持ちながらFunk、Soul、Disco、Electronic Musicまで自由に吸収し、自分自身のサウンドへ変換してしまう。その柔軟な感覚が非常に早い段階から表れていたのが、この My Turn To Love You なんですよね。「ReggaeシンガーがDiscoをやった」という単純なモノではなく、Eddy Grantという独自のフィルターを通過した結果、ドコにも完全には属さないDance Musicが生まれているトコロがおもしろいんです。


鮮烈なホーンとストリングスが作るラグジュアリーな空間

まず耳に飛び込んでくるのは鮮烈なホーンセクションと艶やかなストリングス…華やかで高揚感に満ちたイントロは、一瞬でフロアの空気を変えてしまうチカラがあります。70年代後半のDiscoが持っていたゴージャスな感覚をしっかり残しながらも、サウンドには80年代へ向かうタイトさもある。そのため豪華なのに重たくならず、非常に抜けの良い音像に仕上がっているんですよね。そこへ重厚な4つ打ちのリズムとファンキーなベースラインが絡み合うコトで、単なる煌びやかなDiscoでは終わらない、Eddy Grantならではのブラック・ミュージック感覚が濃密に漂ってくる。まさにラグジュアリーという言葉が似合うのに、フロアではしっかり汗をかけるDiscoなんです。


豪華なのに腰が強いっ!Funkが支えるグルーヴ

特に印象的なのは、グルーヴの腰の強さです。ストリングスやホーンを使った豪華なアレンジで包み込みながらも、芯にはしっかりとFunkの骨格が存在している。ベースは単なる低音の支えではなく、リズムをグイグイ前へ押し出し、キックと一体になって身体を動かしてくるっ!この低域の強さがあるからこそ、上モノがどれだけ華やかになってもサウンドが浮つかないんですよね。Discoの多幸感とFunkの黒さ、その両方を高いレベルで成立させているからこそ、この曲はDisco好きだけでなく、BoogieやFunkを掘っているDJにも強く刺さる1曲になっています。少し大きな音で鳴らした時に初めて分かる、この見た目以上のタフさが実にイイっ!


Eddy Grantの歌声が生み出す独特のエキゾチック感

そして、そのトラックの上を駆け抜けるEddy Grantのヴォーカルがまた素晴らしいっ!少しハスキーで哀愁を帯びた歌声は、華やかなDiscoサウンドの中でも埋もれるコトなく、強烈な個性を放っています。彼のルーツから生まれる独特のリズム感覚も相まって、N.Y.産Discoともヨーロッパ産Euro Discoとも違う、ドコかエキゾチックな色気が漂っているんですよね。リリックのテーマはタイトル通り「今度は自分が愛を注ぐ番だ!」というポジティヴなラブソング…ですが、ただ甘いだけではなく、その歌声からは少し切実さや熱量もカンジられる。この感情の揺らぎがあるコトによって、単なる陽気なDance Musicではなく、しっかりSoulを持った楽曲として耳に残ります。


DiscoからBoogieへ向かう1980年の空気感

1980年前後のクラブシーンは、巨大化したDiscoブームが転換点を迎える一方で、その音楽的なDNAが消えるコトなく、BoogieやModern Soul、さらにその先のDance Musicへと変化していった非常におもしろい時代でした。この My Turn To Love You にも、その過渡期ならではの空気感がリアルに閉じ込められています。ストリングスやホーンには70年代Discoの華やかさが残っているのに、リズムセクションはよりタイトでFunky。そしてサウンド全体には次の時代へ向かう軽快さがある。つまりDiscoの終わりというより、Discoが姿を変え始めた瞬間の音なんですよね。70s Discoから80s Boogieへと続く流れをレコードで追いかけている方なら、この絶妙な立ち位置にも惹かれるハズです。


6:20のExtended Versionで聴く12インチの醍醐味

そして、このUS Promo 12インチに収録された6:20のExtended Versionこそ、ぜひ12インチで体感してほしいっ!曲を単純に長くしたというより、DJがフロアで使うコトを前提にグルーヴへ入り込むための時間がしっかり確保されています。ホーン、ストリングス、ベース、パーカッションがそれぞれの役割を保ちながら展開していくため、長尺で聴くコトによってアレンジの緻密さがさらに見えてくるんですよね。特に12インチで少し音量を上げれば、華やかな上モノの奥から太いベースがグッと前へ出てきて、この曲が本質的にはかなりFunkyなDance Trackであるコトがよく分かります。フロアで鳴らすために用意されたExtended Versionだからこそ味わえる、時間と音圧を使ったグルーヴです。


クラブDJから愛されたもうひとつのEddy Grant

実際、Eddy Grantは Time Warp、Walking On Sunshine、Living On The Frontline といった楽曲でもDJ人気が高く、クラブミュージックという視点から掘っていくと、Electric Avenueだけでは見えてこない非常におもしろい一面が次々と現れてきます。この My Turn To Love You も、そんな彼のDance Musicクリエイターとしてのセンスと才能が濃密に詰まった隠れ名作と言えるでしょう。Reggae、Disco、Funkといったジャンルを頭の中で分けて聴くのではなく、それらが自然に混ざり合ったひとつのブラック・ダンスミュージックとして聴くと、この曲の魅力がさらにハッキリ見えてくる。ジャンルの境界線を軽々と越えていくEddy Grantというアーティストの本質が、ココにはしっかり刻まれています。


Promo Onlyで残された極上のDisco 12インチ

もし、Electric AvenueのアーティストというイメージだけでEddy Grantを止めているなら、この12インチはゼヒ、体験してほしい1枚。ゴージャスなDisco、強靭なFunk、そしてカリブ由来のエキゾチックな空気感が交差するこのサウンドは、現代の耳で聴いても驚くほど新鮮です。そしてUS盤ではPromo Onlyというトコロも、オリジナル盤好きには見逃せないポイントでしょう。一般のリスナーへ向けて大量に販売するためではなく、DJやラジオへ届ける目的で作られた12インチに6:20のExtended Versionが刻まれている…その背景まで含めて、まさにDance Musicのためのレコードなんですよね。フロアで鳴らしても良し、自宅でジックリ聴いても良し。針を落とせば、Electric Avenueとはまったく違うEddy Grantの姿が見えてくる、コレクションとしての魅力も非常に高い12インチとなっています。

 

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