
Rae & Christian / All I Ask (DJ Spinna Mix)
ManchesterとNYが交差したJazzy Soulの理想形
UKマンチェスターが誇るソウルフル・ビーツの錬金術師、Rae & Christian。今回レコメンドするのは、デビュー・アルバム Northern Sulphuric Soul から生まれた名曲 All I Ask を、NY Deep House/HipHopの要人 DJ Spinna がRemixした All I Ask (DJ Spinna Mix) です。UK特有のスモーキーで洗練された感性と、US HipHop由来のグルーヴ感覚が、1999年という時代性の中で理想的に交差した1枚であり、夜の空気を優しく揺らすJazzy Soulの完成形と言えるサウンドですね。
オリジナルの情感を保ったままフロアへ開く手腕
オリジナルは、ヴォーカリスト Veba の瑞々しくエモーショナルな歌声を主役に据えた、シットリとしたSoulナンバーですが、DJ Spinnaはその繊細な核を壊すことなく、フロアで機能する推進力を巧みに与えています。イントロでは、ほのかに揺れるコードと余白を活かした配置が耳を引き、やがてHipHop譲りのシャッフル・ビートが静かに、しかし確実に身体を前へと運んでいく…キックは太くも軽やか、スネアはタイトに跳ね、ベースは歌心を失わない、その上にDJ Spinna節全開のエレピやシンセのきらめきが重なり、夜空を見上げるような多幸感を描き出しています。
ヴォーカルの芯を際立たせる構成美
ブレイクではあえて音数を抑え、Vebaの声の「芯」を際立たせる構成が秀逸っ!リリックが語るのは、過剰な欲望ではなく、関係の中での誠実な願い…「ただそれだけでいい」という静かなメッセージであり、その等身大の感情が都会的でJazzyなサウンドスケープと溶け合い、聴く者それぞれの経験と自然に重なっていきます。フロアで鳴らしても、深夜のラジオで流しても成立する稀有なバランス感覚は、DJ Spinnaの職人芸の賜物でしょうね。
1999年という時代を映すクロスオーバーな価値
1999年前後、UKではTrip Hop以降のダウンテンポ/ソウルフル・ビーツが成熟期を迎え、USではHipHopとHouseの境界が溶け始めていました。そんな時代背景の中で、本作はクラブDJにとってはつなぎの名脇役として、リスニング派には何度も針を落としたくなる主役曲として支持されてきた1枚です。Rae & Christianのメンバー Mark Rae が設立した Grand Central Records らしい、先進性と温度感を兼ね備えたリリースと言えるでしょう。
12インチで体感するグルーヴの呼吸
12インチシングルならではの音圧と立体感で、ビートの揺らぎやエレピの艶がグッと前に出る…Mixの呼吸、グルーヴのしなり、そのすべてが針を落とした瞬間に体感できるサウンドっ!夜の始まりにも、終わりにも寄り添うこのDJ Spinna Mix収録の12インチシングルは、コレクションにも現場にも確かな価値をもたらす1枚ですよ。











