
Swing Out Sister / Waiting Game
知性とロマンが夜を照らすUK産エレガントPop
1980年代後半、Popミュージックが過剰な装飾や即効性へと傾きがちな時代に、Swing Out Sisterは一貫して「知的でエレガントなPop」という美学を貫いた稀有なデュオです。今回レコメンドする Waiting Game は、世界的ヒットとなった Breakout 以降に発表された2ndアルバム Kaleidoscope World からのシングル・カットでありながら、本国UKでは12インチがリリースされなかったUSオンリー仕様という点で、コレクター心を確実に刺激する1枚となっています。その12インチには、楽曲の気品を保ったままダンスフロアへと開かれたExtended Versionが収録されており、アルバムとは異なる表情を楽しめる構成になっていますね。
クラシカルな構築美と80s後期スタジオ感覚の幸福な融合
聴いた瞬間、まず耳を奪われるのは、澄み切った空気を切り裂くように立ち上がるイントロ…軽やかなピアノのリフと煌めくシンセのレイヤーが重なり、ホーンがさりげなく色彩を添えていく。その鮮やかに色づく瞬間の演出は、60年代バカラックPopから受け継いだクラシカルな構築美と、80s後期ならではの洗練されたスタジオ・ワークが幸福な形で融合した結果と言えるでしょう。Corinne Dreweryのヴォーカルは伸びやかで、どこかノスタルジック…都会の夜に漂う孤独をやさしく包み込みながら、聴き手が前を向くための余白をシッカリと残してくれます。
12インチで開花するフロア仕様のもうひとつの完成形
アルバム・バージョンが上品なミディアム・テンポのPopソングだとすれば、12インチに収録されたExtended Versionは、躍動するビートを大胆に注入したもうひとつの完成形と言えるでしょう。ブレイクでのホーンの展開はよりドラマチックに引き伸ばされ、ピアノのフレーズは反復の中で高揚感を増していく…単なるロング・ミックスではなく、静と動のコントラストが明確に設計され、フロアでの機能性とリスニングの快楽を高次元で両立している点が実に見事ですね。さらにUltimixやDubといった多彩なバージョンが収録されている点も、DJユースを意識した12インチならではの魅力と言えます。
時代を超えて響く「待つコト」の美学
1989年当時、ラジオとクラブの距離は今よりも近く、洗練されたPopがダンスフロアに自然に溶け込んでいました。派手なヒット・チャートの中心からは少し距離を保ちながらも、知性とセンスで確かな支持を集めたこの Waiting Game は、35年以上を経た現在、80s再評価やNew Jazz文脈の中でむしろ鮮度を増して聴こえます。歌詞に漂う「待つコト」の美学…焦らず、期待を抱きながら時を重ねる感覚は、いまの都会的リスナーにも静かに響くハズっ!エレガンス、メロディ、グルーヴ、そのすべてが過不足なく同居する Waiting Game は、Popの理想形を12インチで味わえる極上の1枚です。


























