
Crown Heights Affair / Dreaming A Dream (Goes Dancin)
フロアの空気を一瞬で変える、多幸感に満ちた極上Garage Classic。70年代後半、Discoカルチャーが最高潮へと向かう中で生まれた、Crown Heights Affairによる名曲 Dreaming A Dream (Goes Dancin) のレコメンド。この楽曲は、まさに当時のクラブ体験そのものを封じ込めた1枚と言っていいでしょう。
イントロからフロアを華やかに染め上げるDiscoサウンド
イントロからまず耳に飛び込んでくるのはタイトに刻まれる4つ打ちのビート…その上を軽やかに滑るギターリフ、そして高らかに鳴り響くシンセのメロディが、空間を一気に華やがせていきます。そこに重厚なベースラインと煌びやかなホーンセクション、さらに流麗なストリングスが折り重なるコトで、音のレイヤーはイッキに立体的なグルーヴへと昇華…まさにフロアの温度が上がるとはこのコトです。これだけ多くの音が鳴っているにもかかわらず、それぞれのパートがぶつかるコトなくひとつの大きなグルーヴとして機能している。Discoが最も華やかだった時代ならではの豪華なサウンドでありながら、しっかりカラダを動かすFunkの芯が存在しているところが、この曲の強さでしょうね。
ブレイクから再び爆発する圧巻の展開っ!
この楽曲の真骨頂は、ナニより展開の素晴らしさにありますっ!随所に差し込まれるブレイクは、単なる曲のつなぎではなく、ダンサーの期待感を巧みに煽り、次にグルーヴが戻ってくる瞬間への高揚感を極限まで引き上げています。そして中盤以降、一度フロアの空気をリセットするかのように構成を変え、そこからさらに一段階上のグルーヴへと突入する流れは圧巻っ!音を鳴らし続けるのではなく、一度引くコトで次の瞬間をより大きく感じさせる…ダンスミュージックにおける「緊張と解放」が実に分かりやすく体感できる構成になっています。DJ視点で見ても、単に盛り上がる曲というだけではなく、フロアのテンションそのものをコントロールできる武器として極めて優秀な曲です。
Paradise Garageで愛されたGarage Classic
リリース当時、この楽曲はクラブシーンで広まり、後にはParadise GarageをはじめとするNew Yorkのダンスフロアでも愛される存在となりました。こうしたDisco/Funkの楽曲が、その後Garage Classicと呼ばれるようになっていった背景には、単にジャンルとしてのDiscoというだけではなく、DJがどのようなタイミングでプレイし、フロアがどう反応したのかというクラブの記憶があります。Crown Heights Affairの持つ華やかなアレンジと、身体を自然に動かす強靭なグルーヴは、まさにそうした空間でこそ本領を発揮するサウンドでしょう。時代が変わってもGarage好きのDJやダンサーに聴き継がれてきた理由は、針を落としてフロアで鳴らしてみればすぐに理解できるハズです。
「夢の中で踊る」という多幸感
リリックのテーマはタイトル通り「夢を見るコト」、そしてその夢の中で自由に踊るコト。現実から解き放たれ、音楽と一体化する歓びがストレートに表現されており、サウンドの持つ圧倒的な高揚感と見事にリンクしています。クラブで音楽を聴くという行為には、日常から一時的に切り離され、知らない人同士が同じリズムの中でひとつになるような瞬間がありますが、この曲にはそんな感覚がそのまま音として刻み込まれているように感じますね。だからこそDreaming A Dream (Goes Dancin)は、単なるダンスミュージックにとどまらず、聴いた場所や一緒に踊った人、その時のフロアの空気まで含めた「体験」として記憶に刻まれるのでしょう。
Dancin (Special Disco Mix)へ続くもうひとつの世界
そして12インチ好きとして見逃せないのが、カップリングとして収録された Dancin (Special Disco Mix) …本編のブレイクパートを再構築し、よりディープに、より長くグルーヴへ没入させる構成は、まるで Dreaming A Dream の裏側に広がるもうひとつの世界です。ヴォーカルやメロディを楽しむ本編に対し、こちらではリズムやブレイクの魅力がより前面へと押し出され、同じ素材からまったく違ったフロア感覚を作り出している。この2曲を続けて聴くと、単なるA面とB面ではなく、ひとつの楽曲を異なる角度から楽しませる12インチならではの発想がよく分かります。こういうカップリングが存在するからこそ、アルバムだけではなく12インチシングルを探したくなるんですよね。
今も現場で生き続ける12インチ
多幸感、グルーヴ、そしてフロアとの一体感…そのすべてを兼ね備えたこの1枚は、単なるコレクションではなく現場で生きるレコードっ!華やかなホーンやストリングスを楽しむだけなら自宅で聴いても十分ですが、この曲の本当の凄さは、ある程度の音量で鳴らした時にビートとベースが身体へ届き、その上にすべての楽器が広がった瞬間に分かるような気がします。曲を知っているとか、レアなレコードだからという理屈を超えて、鳴った瞬間にその場の空気を変えてしまう…Garage Classicと呼ばれるレコードには、そんな説明不要のチカラがあります。Dreaming A Dream (Goes Dancin)もまさにそんな1曲。針を落とせば、そこにはあの時代の熱気がそのまま蘇ります。


