One Way / Didn't You Know It - 夜の空気に溶ける、静かに艶めくスムースなアーバンFunk

One Way / Didn't You Know It

▶︎

夜の空気に溶ける、静かに艶めくスムースなアーバンFunk

1983年、DiscoからBoogie、そしてUrban Funkへと移行していく過渡期において、One Wayが提示したもう一つの到達点。それが今回レコメンドする Didn't You Know It です。Al Hudson率いるOne Wayは、Cutie PieやMusicといった華やかなヒットで知られていますが、本作はその裏側に潜む静のグルーヴを体現した1曲といえるサウンドに仕上がっています。派手な展開やキャッチーなフックで一気に惹きつけるタイプではなく、聴けば聴くホドに細かな音の配置やグルーヴの深さがジワジワと伝わってくる…そんな玄人好みの魅力を持ったナンバーで、One Wayというグループの懐の深さを改めてカンジさせてくれる1曲でしょうね。


音を鳴らしすぎない美学が生み出すミッドテンポのグルーヴ

聴いた瞬間、耳に飛び込んでくるのは、パーカッションとドラムが織りなすタイトで引き締まったミッドテンポのビート…その上を、涼やかに刻まれるギター・カッティングが軽やかに滑り、空間に余白を残しながら展開していきます。ここで特筆すべきは鳴らしすぎない美学…音数を絞り込みながらも、ベースラインはしっかりと芯を作り、シンセサイザーが透明感のあるレイヤーを重ねていく。この絶妙なバランスが、まるで夜の街に溶け込むような洗練された質感を生み出しています。Funkというと強烈なベースや派手なホーンが前面へ飛び出してくるイメージもありますが、この曲はむしろ音と音の隙間をグルーヴとして聴かせるタイプ…何も鳴っていない一瞬の余白までリズムの一部として機能しているような、非常に緻密なサウンドなんですよね。


抑制されたヴォーカルと哀愁を帯びたメロディ

ヴォーカルは過度に主張することなく、あくまでトラックと一体化するように配置され、哀愁を帯びたメロディをソウルフルに紡いでいく。タイトルの Didn't You Know It が示すように、恋愛におけるすれ違いや、伝わらなかった想いを静かに問いかける内容で、その抑制された表現がかえってリアルな余韻を残します。感情を大きく爆発させるのではなく、少し距離を置いたような歌い方だからこそ、曲全体に漂うクールな質感とも見事に溶け合っているのでしょうね。ミッドテンポのビート、涼しげなギター、透明感のあるシンセ、そして少し切なさを含んだヴォーカル…それぞれが必要以上に前へ出るコトなく絶妙な位置で鳴っているからこそ、都会的でスムースなUrban Funkとしての完成度が際立っています。


あえてB面を選びたくなる深夜のためのOne Way

当時のクラブシーンでは、よりハデでフロア映えするトラックが主流になりつつあった時代…しかし、NYやChicagoの一部のDJ達はこうした隠れたB面をあえてプレイし、深夜帯のフロアをジワジワと温めていきました。この曲もまさにそのタイプで、ピークタイムではなく、空間の空気を整えるような時間帯にこそ真価を発揮する一枚です。DJにとって12インチの面白さは、必ずしもA面のメイン曲だけにあるワケではありません。むしろ何気なく裏返したB面に、とんでもなくイイ曲が潜んでいるコトがある…こうした発見こそレコードを掘る楽しみのひとつでしょうね。A面の Let's Get Together (Remixed Version) の長尺Discoグルーヴもモチロン魅力ですが、あえてこのB面を推したくなる理由は、One Wayが到達した円熟のサウンドがココに凝縮されているからナンですよっ!


黒いシルクのようなグルーヴを12インチで味わう

音が鳴っている瞬間だけでなく、消え際の余韻にまでグルーヴを宿す…そんな職人的なコントロールは、長年シーンを支えてきたOne Wayだからこそ成し得たモノでしょうね。しかも、こうした音数を抑えたミッドテンポのFunkは、12インチで聴くと低域の厚みやパーカッションの細かなニュアンス、ギター・カッティングの乾いた質感までハッキリと浮かび上がり、派手な楽曲とはまた違ったアナログレコードの気持ち良さを味わわせてくれます。華やかさではなく、質感で聴かせる1曲…レコードを集めていると、最初に聴いた瞬間から強烈に印象へ残る曲だけではなく、何度も針を落としているうちに少しずつ好きになっていく曲がありますが、Didn't You Know Itはまさにそんなタイプなのかもしれません。都会の夜、少し照明を落とした部屋で、このレコードに針を落としてみてください…きっとその黒いシルクのようなグルーヴに、ジワリと引き込まれていくハズですよ。

 

next recordsのサイトでOne Wayのレコードを探してみる

INDEXに戻る
×