Viktor Lazlo / Breathless - 夜の静寂にそっと寄り添う、ヨーロッパ産シルキーBalladの極み

Viktor Lazlo / Breathless

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1987年、ヨーロッパの夜を静かに染め上げた名Ballad。今回レコメンドするのは、ベルギー出身のシンガー、Viktor Lazloの名をEU圏に決定的なものとして刻み込んだ代表作であり、彼女のシンガーとしての資質と美意識を最も純度の高い形で提示したBreathlessです。セルフタイトルの2ndアルバムの幕開けを飾るA面1曲目という配置からも、この曲に託された強い意思が感じ取れますね。


声の美しさを引き立てるミニマルなサウンド

イントロで広がるのは、柔らかく空間を包み込むシンセ・パッドと、控えめながらも芯のあるコードワーク。過剰な装飾は一切なく、あくまで「声」を中心に据えた構成が、この曲の世界観を決定づけています。そこへ重なるViktor Lazloのヴォーカルは、息遣いまでもが音楽の一部として溶け込むようなスモーキーさと、ベルベットのような滑らかさを併せ持ち、リスナーの感情にそっと触れてきます。音数を絞り込んだアレンジだからこそ、彼女の歌声が持つ繊細なニュアンスや空気感が際立ち、夜の静寂に自然と溶け込んでいきます。


12インチだから味わえるExtended Versionの魅力

この12インチシングルに収録されているExtended Versionは、アルバム・ヴァージョンよりも2分以上長く、楽曲の余韻と陰影をじっくりと味わえるのが大きな魅力です。中盤で訪れるブレイクでは、リズムが一歩引き、空間が広がるコトで彼女の歌声がより立体的に浮かび上がります。クラブで即効性を狙うタイプの12インチではありませんが、ラウンジ、アフターアワーズでこそ真価を発揮するタイプの1枚と言えるでしょうね。時間の流れまでも演出するようなロング・ヴァージョンならではの贅沢な構成は、12インチフォーマットの魅力を改めて実感させてくれます。


ヨーロッパならではの抑制されたロマンティシズム

リリックのテーマは「Breathless=息をのむほどの想い」。恋愛における高揚と不安、言葉にできない感情の揺らぎが、決してドラマティックになりスギるコトなく、静かなトーンで描かれています。この抑制の効いた表現こそが、アメリカのR&Bバラードとは一線を画す、ヨーロッパ特有の美学ですね。フレンチJazzやシャンソン、コンチネンタルPopの系譜をカンジさせる陰影のあるロマンティシズムが、この曲全体を貫いています。華やかさを前面に押し出すのではなく、静けさの中に深い感情を宿す表現力が、この作品を唯一無二の存在へと押し上げています。


夜更けにこそ針を落としたいヨーロッパ産Ballad

リリース当時、EU圏ではラジオを中心に広くオンエアされ、クラブ・ミュージック全盛の80年代後半においても「大人のためのPop Ballad」として確かな支持を獲得しました。派手なヒットチューンではなく、時間と共に評価を積み重ねてきたタイプの楽曲だからこそ、今あらためて12インチシングルで聴く意味があると思います。針を落とした瞬間から流れ出す、品格と親密さが同居したサウンド…夜更けの独りきりの時間や、グラスを傾ける静かなひとときに、このレコードは確実に寄り添ってくれるハズです。ヨーロッパ・バラードの美しさを体現した1枚として、コレクションにも、日常のリスニングにも自信を持っておすすめできる12インチです。

 

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