
Wally Badarou / Novela Das Nove
異国の風と幻影が交錯する…静かに熱を帯びるDub Fusion──Wally Badarouの12インチ Spider Woman(Novela Das Nove)のレコメンドです。
1986年にリリースされたこのシングルは、Jazz Fusion、Afro、Dub、そしてシネマティックなサウンドスケープが見事に溶け合った1枚。Wally Badarou自身が手掛けた映画『Kiss Of The Spider Woman(蜘蛛女のキス)』サントラからのカットで、後にGrace JonesやLevel 42にも影響を与えた音響実験の集大成とも呼べる作品です。
ミステリアスな導入と音の幾何学
イントロから漂うのは、ミステリアスで幻想的なムード。リズムマシンの乾いたスネアとウッディなパーカッションが、まるで熱帯夜の密林を進むかのような錯覚を与えてくれる。
そこへエレピやシンセが滑らかに重なり、旋律はまるで幾何学的な図形のように流転していく…中盤のブレイクではエフェクトの効いたパーカッション・ソロが展開し、音の粒子が空間を漂うように広がる情景が目に浮かぶようです。
その緻密なサウンド・デザインには、キーボーディストとしてのWally Badarouの才覚と、プロデューサー的感性が存分に発揮されています。
Paul “Groucho” Smykleによる拡張Dubミックス
12インチ・バージョンでは、UK Dub職人 Paul “Groucho” Smykle によるRemixを収録。アルバム版よりも長く拡張され、残響の深さと空間の広がりがより強調された構成になっています。
Grace Jones や King Sunny Ade でも知られる彼らしい、重心の低いDubグルーヴ。リズムの「間」が心地よい緊張感を生み、深夜のクラブのスモークに溶け込んでいくようなサウンドがたまりませんね。
“Novela Das Nove”──耽美・官能・謎をまとった音のドラマ
タイトル「Novela Das Nove」はポルトガル語で「夜9時の連続ドラマ」。南米のメロドラマのように、耽美的で、官能的で、どこか謎めいた空気をまとっています。
言葉を超えた音の語りが、聴く者それぞれに異なる物語を想起させる…それこそがこの曲の魅力ですね。
静かに熱を帯びる“ヨーロッパ的クラブ感”
80年代後半のクラブシーンでは、こうした「静かに熱い」サウンドがヨーロッパを中心に高く評価されていました。派手さはないのに、深い余韻と熱量がある…まさに大人のダンス・ミュージック。
もしあなたが、深夜にグラスを傾けながら音にドップリ浸りたいタイプなら、この12インチは理想の1枚っ!
盤に針を落とした瞬間、あなたの部屋は“蜘蛛女の夢”に包まれる…そんな魔法のような作品です。
1986リリース